2011/09/15

タルセバ

膵臓癌では、使用できる抗がん剤が2種類しかないので、効果が無かった場合の選択肢はありません。2011年上半期迄にドラッグラグの問題がメディアでも取り上げられるようになり、世論や法整備が改善され、ようやく待望の上皮成長因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼ阻害剤エルロチニブ(商品名:タルセバ)が治癒切除不能な膵癌の治療薬として認可されました。パープルリボン、患者さんや家族、一部の病院関係者や製薬関係者の努力が実りました。エルロチニブは2005年11月に米国、2007年1月に欧州で承認されています。しかし、ドクターと話したところ、僕のケースでは使用できないということです。GEMとTS-1の併用投与であるので、タルセバの使用要件から外れているということ。日本人体質への副作用や併用されるであろう日本独自の抗がん剤治療との関係で、慎重な臨床、初期投与ガイドラインはあって当然です。しかし、この薬剤を待っていたのは日本全国の希望の持てない末期患者で、当然様々な抗がん剤治療を試している筈です。現在有効とされ保険適用内の抗がん剤は2種類しかないのですから。今回の方針では誰も使用しないでしょう。初期投与でGEMとタルセバを選ぶ人がいるとも思えません。ジェムザール単剤か、TS-1との併用の効果が統計上有効です。GEMとTS-1の平均奏効期間が6~8ヵ月程度とされている現状。決定的な治療方法が無く、膵臓がんに有効な薬をどの順番でいかに使用するかが決定的に予後に違いが出る現状。FOLFOXやFOLFIRI、FOLFIRINOX、アバスチン、イリノテカン、ゼローダ、5FU等もありますが、延命方法にすら進歩が無い現状です。まだ若く、身体も大きく丈夫な僕には使ってみて欲しいと切に思います。欧米ではFOLFOXFOLFIRI、FOLFIRINOXの実績もあります、日本では治験のみですが、臨床試験もアイデアのひとつです。現在、早期発見が鍵となる膵臓癌の発見方法は研究も進んでいます。国もその方向で対処しているようです。治せても治せないなくてもそれは良いことですけど。膵臓癌標的の薬剤も僅かに研究はされていますが、膵臓癌は発症人口比も小さいので他の癌で開発された薬剤の応用的な面が多いのも事実です。癌治療全体に画期的な対処方法が解明されるまでは、不治の病と言う事で仕方ないと。日々、新薬、新手法開発のニュースを目にしますが、あと10年発症が遅ければと悔やみます。