2012/02/07
ペプチドワクチン(2)
昨日のオンコセラピー社と大塚製薬共同での、がんペプチドカクテルワクチン療法剤OCV-C01の膵臓がんに対する第III相臨床試験(OCV-C01による標準療法不応膵癌に対するプラセボ対照ランダム化第III相臨床試験)であるCOMPETE-PC Study (COMbined PEptide ThErapy for Pancreatic Cancer)が、全国40施設で臨床試験を施行されるという発表ですが、詳細は3月位には各医療機関で決定され募集されるようです。「OCV-C01は、ゲノム包括的解析などにより見出された、正常組織にはほとんど発現せず、膵臓がんに高頻度に高発現する腫瘍抗原と腫瘍新生血管内皮細胞を標的とするものです。膵臓がん細胞や腫瘍新生血管を障害することにより膵臓がんの増殖・進展を抑制することが期待される複数のペプチドワクチンを含む製剤です」とありますが、どういう複数のペプチドワクチンがカクテルされているかの情報が判りませんでした。オンコ社ではOTS-102(エルパモチド・新生血管阻害剤・胆道がんも治験・扶桑製薬)、OCV-101(新生血管阻害剤・大塚製薬)とOCV-105(大塚製薬)が開発されています。OCV-105は腫瘍抗原KIF20Aと腫瘍新生血管関連遺伝子VEGFR1由来のA2402拘束性エピトープペプチドを用いたペプチドワクチン療法で、オンコ社や千葉徳州会病院等で第I相臨床試験(安全性・有効性)が行われています。少人数で、現在は募集終了-試験継続中です。NHKでの衝撃的な回復シーンに出ていた女性の記事も読みました。OCV-105のようですね。今回、かなり調べてみたのですが、オンコ社からの情報があまりにも不足しています。患者にとっては残り少ない一生を左右する大きな決断であるのですが、新薬開発はやはりモルモット的な感じです。モルモットがデーターを知っていたら治験にならないのでしょうか。個人的にはWT1や樹状細胞ワクチンに比べて、希望の持てる東大医研発のペプチドワクチンなのですが、数年もかけて開発している割には、どんなに調べても謎の薬剤です。残念です。現在の自分は、治験を受けられる基準にギリギリいるようで、いちかばちかみたいな日々の状況での、いちかばちかみたいな治験。責任を取るのは医者、病院、製薬会社でしょうが、命を削っているのは患者です。第III相臨床試験のものなら、せめて効果、副作用の統計データ等は知りたいところです。