2012/04/30

貧血亢進

山々の緑が日々色めいてます。先週金曜日はふらふらで病院までのドライブ断念。血液検査では貧血亢進、ヘモグロビン濃度がまた7g/dlぎりぎりですが、輸血見送りでジェムザール投与しました。鉄剤フェロミアは前回の輸血前から継続して服用していますが改善されません。尿検査で尿潜血、赤血球等が今回は正常値に戻っていたので、先週の血尿は一時的に尿管ステントが膀胱内などに傷を付け出血していたのだろうという所見でした。継続的な失血箇所は十二指腸でしょうか。5月中に入院して十二指腸ステントの再留置と尿管ステントの交換をする予定、その後PET-CTも予定しています。腹水対策の利尿剤は様子をみながら継続することになりました。現在、高度貧血や痛みもあり先週土曜日の夜から殆どベッドにいます。お臍の右横にしこりを発見しました。次回ドクターに相談してみます。鎮痛剤のトラマールには慣れてきました。100-175mg/日です。ただNSAIDsとは効き具合が違います。オピオイド系では対処できないのかなという痛みも感じますが、当面はトラマールで問題なさそうです。薬剤師の話ではトラマドールとアセトアミノフェンを併せた製剤もあるのでNSAIDsとの混用も大丈夫とのこと。免疫力の向上のためにも散歩位はしたいのですが、体重も減って体力がありません。気候も良くなってきたし、そのうち元気になるでしょう。
土曜日に山口からお見舞いに来ていただきました。いつもありがとうございます。
覚書.さん。最後までご一緒でしたね。 合掌。 ご冥福をお祈りします。

2012/04/22

ふらふら

金曜日、血液検査と診察、抗がん剤投与開始。肝機能、腎機能は正常。貧血がまた亢進していました。赤血球(RBC)とヘモグロビン(Hb)、ヘマトクリット(Ht)の減少のみで、白血球(WBC)、血小板(Plt)、MCV、MCH、MCHCに異常は無し、慢性失血性貧血が続いての高度貧血状態で階段も息切れします。ヘモグロビン濃度がぎりぎりなので次回は輸血かもです。尿検査で尿潜血が陽性、尿の赤血球が多く検出されているので尿管の腫瘍のところかなと勝手に推測。次回も尿潜血続くようならドクターに相談してみます。お腹の張りの対処として ループ利尿剤ダイアートが処方されました。腹水対策ですが、昨日の朝から服用開始して、午後以降もっとふらふらになってきました。食欲はあるのに満腹になってしまうので食べられない、胃液も滞留して胃酸が辛い。胃液がきついと嘔吐です。便通はあるのでイレウス(腸閉塞)ではなく、閉塞部は上部消化器。日によって満腹度合いが違うので食事が難しい。流動食、野菜ジュースも回数が増えてきました。貧血で目が真っ白、体重も減ってやつれています。鏡を見たら少しは病人っぽくなってきてる。鎮痛剤はNSAIDsからオピオイド系に移行。先ずはトラマールの少量から。トラマドールは世界中で使用されているし、調節しやすそう。試してみます。
週末は友人が中国に行った帰りにお見舞いに寄ってくれたのに、体調の事もありお世話になりっぱなしでした。でも楽しかった。五味子も頂き、ありがとう。それと、弟は風雨の中フルマラソンで自己記録更新、頑張ってます。

2012/04/18

化学療法

週明けから調子が良く無く、腹部の痛みと張りに悩まされてました。苦しかった。今日は流動食だけなので、夕食どうしようかなと考えています。外観と内面は未だに元気です。
日本の制度上、殆どの膵臓がんの患者は先ず、切除手術、放射線療法が可能かの判断があり、その後化学療法に移行します。進行・再発膵癌の進行は早く、病状も急激に悪化することがあり、体調の悪化や抗がん剤の副作用で抗がん剤治療が中止される場合もあります。膵臓がんには抗がん剤が数種類しかなく、化学療法の中止以降は保険適用下では有効な治療はありません。それに現在の化学療法も延命効果が若干あるという程度です。希望は無く、延命措置を受け続けるものだと最初から病院で伝えられ、ガイドラインもそうです。
メディアが免疫療法やがんワクチンで賑わい続けてます。各メディアは各企業の広告のよう。各社一斉に厚生省の方針を批判しつつ(研究育成や医療制度と抗がん剤は最低最悪)、成功例を前面に出して(半分位は全く関与のない成功例)、免疫治療という新しい分野と開発事情、医療のテーラーメイド化推進、かなりなハイプです。でも放映や記事をみると結果的には違う会社の違う手法の免疫治療に誘導されます。世界中で多種多様な研究がなされていますが、発表されている好結果も多種多様。効果の無いエヴィデンスだけ患者には届かない仕組み。またペプチドワクチンの治験では、標準療法不応や不耐の募集が多いのが事実です。免疫療法に相反する化学療法が標準であるので、先ずはそこで統計値を向上させないと前に進まないというのが現状でしょう。実際、化学療法は免疫系をボロボロにしますしね。
各治療機関にも問い合わせが多いようです。啓蒙団体も多いし、行政が動きそうですね。ただインフルエンザワクチンや豚ワクチン、子宮頸癌ワクチンのように結果が不確かなものに対して税金が大量に投下され、結局は企業と天下りの役員だけが得をするという構図の繰り返しは避けてもらいたい。人類の歴史をみてもいきあたりばったり、長い目で見ないと効果なんてわかりません。化学肥料、農薬、添加物、医薬品しかり。ただ、膵臓がんを見つけてから何回も考えてたのですが、そろそろ化学療法を止めてみようかなと思ったりしています。桜も二回観れました。冒険したい。

2012/04/10

NK細胞

ここ数日、かなり少量の夕飯で乗り切っています。痛みもあるので寝てばかり、たまに庭で座って春の音と色を楽しんでます。
本日、大塚製薬、塩野義製薬が免疫機能を生かすがん治療ワクチンの開発を加速、大塚製薬は膵臓がんを治療するワクチンの最終治験を始めるという報道がありました。やっとまとまったのでしょうか。
先週、UMINで気になっていた京都府立医科大学の高純度NK細胞移入療法の消化器癌に対する第1相臨床試験。昨日タカラバイオ社からIRもありました。2010年に9例実施したレトロネクチン拡大培養法によるナイーブT細胞を用いたレトロネクチン誘導Tリンパ球療法と同じものと理解していましたが、若干違うようでNK細胞を強調しています。抗体医薬の使用は無いとのこと。細胞容量や投与回数が前回より少なくなっていますが、培養条件が違うのでしょうか。ただ今回もタカラバイオ社はナイーブT細胞とNK細胞による併用療法、NK細胞と抗体医薬の併用療法等の開発を行っていきたいと示唆しているだけです。タカラバイオ社と関係のある京都等の数クリニックでは既にレトロネクチン誘導Tリンパ球療法(6回コース)が行われています。ANK自己リンパ球免疫療法のリンパ球バンク社の培養センターも東洞院クリニックも京都にあります。京都大学が関係していたこともありますが、NK細胞は京都が熱いですね。抗体医薬は協和発酵キリン等の世界各社で開発ラッシュ。期待しています。
NK細胞関連で、最近話題になった明治乳業のR-1ヨーグルト。EPS(Exopolysaccharide、菌体外に産生する多糖体)に免疫賦活作用があるとのこと。乳製品摂取が大丈夫な人は、自家製ヨーグルトも簡単です。甘味も調節できるし、作り方は検索すれば多様にあります。でもやはり乳製品は身体に良くないとも言われてますし、ヨーグルトの摂取は腸内環境に変化を起こさないという発表もあります。癌にはどうなのでしょうか。

2012/04/08

初めての嘔吐

抗がん剤開始以来、吐き気は数回感じたもことがあったのですが、木曜の夕食後、初めて嘔吐しました。水分のみ1リットル超と摂ったばかりの抗がん剤等。夕食はお味噌汁と寒天とお茶だけだったのですが。午後から満腹感が辛かったので物理的な嘔吐なのかも。それとも抗がん剤と悪心嘔吐と制吐剤についての腫瘍内科医の延々と続く文章を読みすぎたせいか。金曜日は通院で、43回目のジェムザール治療、42週目のTS1(21クール後半)開始。通院治療室で僕がジェムザール投与している横のベッドで若い女性の乳がんの患者さんはずっと嘔吐していました。入院中も思ったのですが、副作用で悪心を患わってる患者さんを目にするのは辛い。実際、自分も痛みより悪心はきついです。ドクターとは週末に僕が食事を工夫してみて、酷な状況が続くようであれば、月曜から入院、火曜に十二指腸ステントを留置しようと決めました。(今の時点で来週のステント留置は見送りそうです)。4月の腫瘍マーカーがまた微増していますが、安定の域であるとのこと。もう半年以上も、抗がん剤もしくは僕の免疫系と癌の進行が拮抗している感じなので、次の展開が非常に心配です。それとやはりストレスがある時は、痛みの感じ方が強くなるような。今日はとても痛い。ドクターは十二指腸ステント留置術後に、トラマールに移行しようということ。
中村祐輔研究室のがんペプチドワクチン療法臨床研究実施施設リストが更新されていますが、注意書きが数行追加されたのみ。電話の問い合わせが多く、メールのみでとのこと。日本での免疫療法の行政上の扱いとは違い、医薬品開発は莫大な予算のもとで行われています。メディアを賑わせて注目度も高いし、多くの人間が関与する予定のものを開発するなら、オンコセラピー社さん共々、情報開示、PR(パブリックリレーション)活動はしっかりしていただきたい。
先週から、免疫系、各種免疫療法と呼ばれているものとその周辺技術、特許、関係する大学や企業や、抗体医薬低分子標的薬、遺伝子治療薬、核酸医薬等の手法、種類、開発状況について詰め込んで再勉強しました。各病院、クリニック、治験の情報とも比較して考えてみればみるほど、これで良いのかなという思いが募ります。患者さんは少ない情報で判断するしかないということ。医療を提供する側は、ひとくくりのジャンル的なカテゴリーでサービスを実験または売ろうとしていることです。リンパ球の培養手法が違えば別物であり、ペプチドワクチンは標的や手法が違えば別の治療法。 ADCC活性にしても抗体が違えば全く違う結果になるだろうし、アジュバントや抗体医薬品と組み合わせたりしなかったり。開発途上でありエヴィデンスも不確定。自分も含めて患者さんは大変です。蜜柑も林檎も品種や時期、生産者、収穫場所で味は随分違います。

2012/04/06

2012 4月 腫瘍マーカー

CEA          35.3
SPan-1       130.0
CA19-9       490
DUPAN-2      890

2012/04/04

春風

先週末は、友人の訪問があり外出していました。久しぶりにドライブ三昧。それにしてもずっと強風です。でもポカポカ。庭の桜桃は散り、畑のケールの葉が毎日成長しています。抗がん剤は一週目。粘膜の切れの副作用もまた始まりましたが、前回よりは楽です。お腹の痛みが強くなってきているのと、腹水が少しずつ増えてるのかなという感じがしますが、やはり満腹感が一番の問題です。二つ目の十二指腸ステントを留置しようとドクターとは話していますが、時期は僕が決めてよいと。5月末に尿管ステントの交換手術の予定なので、同時に出来たらと思っていますが。痛みに関しては、トラマールの処方も提案されています。
ペプチドワクチンは進展ありません。各大学、病院とも素早い対応をしてくれたのですが、和歌山県立医科大学のみ、クラークの方が折り返しますと言ったきり。まあ、新薬は誰かの権利物なので僕は待つしかないですね。
先日書いた、ホウ素中性子捕捉療法京都大学原子炉実験所が頭部以外も熊取町で始めてるようですが、残念ながら膵臓癌は対象外のようです。国立がん研究センターのものは2013年10月完成予定の建物の地下に、小型加速器を設置して臨床研究を開始とありました。
最近気になったのは、CD47抗体がヒトの原発性腫瘍すべてに効果があるというスタンフォード大学の発表、あらゆるがん細胞で活性化しているAkt酵素の分解を誘導するムーラン(Mulan)酵素を発見した建国大学の抗がん治療剤開発、プラズマで悪性細胞死滅させる名古屋大学の研究、サイバーナイフの進歩、アスピリンを日常的に服用することで癌のリスクが減少するという発表、等々。癌に関係するニュースはとても多く、日々新しい発見があります。相当な資本と労力が注入されている分野であり、データ改ざん等の残念なニュースもありますが、そのうち安全で効果の高い治療法も確立されていくでしょう。僕の友人達が癌になっても大丈夫であって欲しい。
創薬化学や遺伝子、細胞の研究等、SF好きの僕にとっては読み物としても面白いので深みに嵌ってます。ただ現在でも宇宙や生物の仕組みは殆ど未知であり、人間という種の病気という状態の定義も曖昧です。真の治療は永遠に不可能で、偶然や経験の積み重ねが医療でしかない。幸運か魔法を使うか、とにかく道が開かれば、輝きも増すのですが。やっぱり欲深いです。