2012/01/24

生存期間中間値

余命について。平均余命を伝えられてどう受け止めるのか、患者に明言することはどうなのかということはどうでもいいです。交通事故に遭う一瞬に、今、車があなたに当たっていますから、生存の時間的余裕が減少傾向ですよって伝えられるような事です。致命的な場合、その瞬間の判断ひとつで余命が変わります。知らない方が良い時もあるでしょう。当然、飛行機に乗る前と乗ってる間では余命が違います。統計分布に偏りが表れるように条件付けされているものもあります。不幸な指標ですが、世界中の事件や事故や戦争の被害者より、癌患者には充分に時間的余裕があると思います。統計上のデータがあって、自分の病状があって、冷静になって考える。判断材料のひとつです。2010年10月膵臓癌の発見時に若いからあと8ヶ月位はと言われ、画像診断後にリンパ節、腹膜等への悪性転化が確認されて切除不能のステージIVb。昔から抗がん剤治療(Chemotherapy)は、友人の間でも評判が悪く(現在でも、アンチ抗がん剤の人多いです)、近年の進歩もまだまだ発展途上ですが、奏効率上昇や副作用軽減等、期待できるものも感じました。それに放射線治療も出来なくて、抗がん剤治療以外の選択肢はワクチン等の先端治療か民間治療だけでした。切除可能な膵臓癌と不能な膵臓癌の平均生存期間に開きが出来つつあり、外科的手法の発展期であったような時期。抗がん剤治療で少しでも治まったら、外科手術で実績のある大阪府立成人病センターや千葉大学医学部附属病院で高度な難手術を受けようかとも迷いました。3ヶ月の入院等の苦労で8ヶ月寿命が延びるかもって感じでしたけど。でも、自分が腹膜播種(Peritoneal Metastasis)であるという事実を踏まえ、日本だけでなく世界中の医療記録を調査するうちに希望はなくなりました。腹膜播種の生存率は、画像陰性(手術で開腹して初めて確認される腹膜播種)では、生存期間中間値が14ヶ月程、2年生存率が25%程に対し、画像陽性(画像で診断される腹膜播種)では、生存期間中間値が5ヶ月程、2年生存率が6.0%程でした。自分は画像陽性で、それも原発が膵臓癌の進行の速い腹膜播種。膵臓癌で死亡の半数が腹膜播種か肝臓への悪性転化が原因のようだし、これは病院では完全に緩和ケア、QOL向上分野の患者扱いだなということを理解しました。世界中の医療のデータベースを閲覧してくれたオーストラリアの友人が、腹膜播種の治癒例はたった数例であると落胆して報告があり、オルタナティブな治療では好結果もあると伝えてくる友人も。日本にある腹膜播種外来は、放射線治療の新しい機械を持ってるし、腹膜疾患について独創的に進歩してるが腹膜偽粘液腫が対象のようだし、殆どの病院の腹膜播種は胃癌由来が対象のようでした。ただ、落ち込むこともなく、普通に病院に通ったり、友人に会ったりしてるうちに、いつもの自分の無謀なポジティブ全開さが戻ってきて、誰も完治していないなら、自分は奇跡を起こしてみようという気になってきました。自分の身体の変化を繊細に感じることから始めて、日々いろんなことを試行錯誤してます。抗がん剤や友人のサポートもあって自分で続けている様々な療法の効果もあるのか、あれから15ヶ月経った現在、イレウス、胆管、十二指腸と発現する症状には対処をし続けつつも、殆ど厳しい痛みも腹水も無く、摂取し続けている抗がん剤の副作用も無く、腫瘍マーカーの著しい増加も無い状態。ゆっくり進行しているのだろうけど、奇跡のきっかけとは、いきなり出会うということも知っています。まだ頭が働いて心臓が動いてる自分の可能性を静かに突き詰めてみます。欲張らないけど、ちょっとだけ。